■ハンガリーに屈する名手たち

 イングランド代表を率いるキャプテンは伝説の名MFビリー・ライト、29歳。この試合が代表55試合目で、後に世界サッカー史上初の「100キャップ」となる選手である。しかも全105キャップのうち、90試合がキャプテンとしての出場だった。

 そしてFWには、これも伝説的な右ウイングのスタンリー・マシューズがいた。第二次世界大戦でサッカー選手としての最盛期を失ったマシューズだったが、この年38歳を迎えてもイングランドきってのスターで、左へのフェイントから右足アウトサイドを使って右に抜くプレーはこの試合でも切れ味抜群だった。

 センターフォワードのスタン・モーテンセンもこのチームの攻撃のスターだった。ブラックプールでマシューズとともにプレーしており、このとき32歳。前半に1点を記録し、イングランド代表25試合で23ゴール目となったが、これが最後のキャップとなった。

 もうひとりの「ビッグネーム」は右サイドバックのアルフ・ラムゼイである。ただしプレーヤーとしてではない。後に監督としてイングランド代表を率い、1966年ワールドカップで優勝に導いた人として知られている。彼はこの試合の後半12分にイングランドが与えられたPKを蹴って成功させ、この試合の最後の得点を記録した。

 彼の姓は「ラムジー」が正しい発音に近いが、日本では長く「ラムゼイ」あるいは「ラムゼー」と表記されてきたので、ここでもそれに従うことにする。この時33歳のラムゼイは、この試合がイングランド代表としての最終戦(32キャップ目)となる。

 もうひとりだけイングランド代表選手を紹介しておきたい。左ウイングのジョージ・ロブ(27歳)である。教師をしながら長くアマチュアとしてプレーした選手で、この年にトットナムと契約してプロとなった変わりダネだった。彼はハンガリーが圧倒的な強さで金メダルを獲得した1952年のヘルシンキ・オリンピックの「英国代表」のメンバーであり、3-5で敗れた「予備戦」で1点を記録している。この日のハンガリー戦は、彼の唯一のイングランド代表戦だった。

PHOTO GALLERY ■【画像】ハンガリー代表の新発明、イングランド代表を沈めた新システム
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