■2年半無敗のハンガリー
1923年の完成以後、1924年4月のスコットランド戦でイングランド代表が初めて使用してから、ロンドンの北西の郊外に位置するウェンブリー・スタジアムはイングランド代表の「ホーム」となってきた。当然、この頃は「旧スタジアム」である。2003年に旧スタジアムを取り壊してまったく新しいスタジアムを建設し、2007年に現在のウェンブリー・スタジアムが完成した。
さて、このハンガリー戦前まで、イングランドはウェンブリーで30試合を戦い、敗れたのはいずれもスコットランドを相手にしたときの4回だけ。「英国内のチーム以外には無敗」を誇ってきた。
オリンピック・チャンピオンとはいえ、イングランドの人々のハンガリーに対する知識は少なかった。当時20歳で10万人の観衆のなかにいたボビー・ロブソン(後のイングランド監督)は、「私は、キャプテンのプスカシュのことさえよく知らなかった。イングランドが楽勝すると思っていた」と、後に述懐している。
イングランドのファンは過小評価していたが、ハンガリーは1950年5月にウィーンでオーストリアに3-5で敗れた後、2年半も無敗を誇る強豪だった。その間24戦して20勝4分け。ローマでのイタリアに対する3-0の勝利も含まれていたのだが、ウェンブリーでのイングランド戦の10日前、ホームにスウェーデンを迎えた試合は2-2の引き分けに終わり、ブダペストのネップ・スタジアムを埋めた8万人のファンを落胆させていた。














