なでしこジャパン塩越柚歩、アジア大会3連覇へと導く劇的PK! 圧死寸前(?)の歓喜の輪、内田篤人コーチとの熱烈ハグ、そして輝く金メダル笑顔の画像
表彰式後、首にかけた金メダルと大会マスコットとともに美しい笑顔を浮かべる塩越柚歩。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 2026年10月2日、エコパスタジアムを舞台に繰り広げられた第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)の決勝戦。日本女子代表(なでしこジャパン)は北朝鮮女子代表との120分間にわたる死闘とPK戦を制し、見事に大会3連覇(4度目の金メダル)を達成した。この歴史的偉業の中心で、まばゆい輝きを放ったのが、日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属する塩越柚歩である。

■前大会の涙と、今大会での確かな歩み

 塩越にとって、アジア競技大会の決勝で因縁の相手である北朝鮮と対峙するのは、これが初めてではない。2023年に開催された第19回アジア競技大会(杭州)でも、彼女はチームのリーダーとしてキャプテンマークを巻き、背番号10という重責を背負って大会に臨んだ。

 当時の塩越は、司令塔でありながら自ら4ゴールを量産する高い攻撃力を発揮し、力強くチームを牽引。決勝で北朝鮮を4–1で下して優勝を決めた際、巨大なプレッシャーから解放されてピッチで見せた彼女の美しい涙は、多くのファンの胸を打ち深い感動を呼んだ。

 迎えた2026年の愛知・名古屋大会でも、塩越の好調ぶりはグループステージから際立っていた。ベトナム戦(8–0)では、右コーナーキックからのボールに対し、精度の高いダイレクトシュートを鮮やかに沈め、チームのゴールラッシュに貢献。そして再び、北朝鮮との決勝戦のピッチに彼女は立っていた。

■託されたキャプテンマークと、劣勢を覆した絶妙「スルー」

 決勝戦は、まさに紙一重の激戦となった。ボランチとして先発出場した塩越は、120分間フル出場を果たし、攻守にわたって獅子奮迅の働きを見せる。

 前半32分には、塩越が放ったシュートが相手にブロックされたものの、そのこぼれ球を上野真実が押し込み、日本が貴重な先制点を奪取した。

 しかし後半に入ると、北朝鮮のオートマチックなポジション取りと手数の少ない崩しによる猛攻に遭い、再開から3分で同点、後半24分にはとうとう1–2と逆転ゴールを許してしまう。

 敗色濃厚となり、試合も終盤に差し掛かった後半36分(81分)、狩野倫久監督は同点を狙うべく一気に交代枠を動かした。このとき、キャプテンマークを巻いていた成宮唯が、宝田沙織との交代でピッチを退くこととなる。

 成宮はピッチを去る際、この緊迫した状況のチームを託すため、中盤でフル出場を続けていた塩越の腕へと直々にキャプテンマークを託したのである。

 この“魂のバトンタッチ”からわずか5分後の後半41分、塩越の卓越した状況判断がチームを救う。ペナルティエリア内へのパスに対し、背後の西尾葉音からの声に瞬時に反応した塩越は、自らボールに触れずに「スルー」を選択。これが西尾の起死回生の同点ゴールへとつながり、絶体絶命の危機からチームを蘇らせて延長戦へと持ち込んだのだ。

 延長戦でもスコアは2-2から動かず、勝負の行方はPK戦へと委ねられた。かつて大粒の涙を流した前大会と同じく、成宮から受け継いだチームの命運を背負うキャプテンの証を腕に巻いた塩越は、この極限の緊張状態の中、最後の重責へと向かった。

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