サッカーは無数のディテールであふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、いま全ドイツを熱狂の渦に巻き込んでいる人口わずか1万3000人の「村のクラブ」、SVエルバースベルクの奇跡だ。4部リーグからわずか5年でブンデスリーガ1部へ昇格し、開幕戦でいきなり強豪レバークーゼンを粉砕した彼らは、いかにして“昇り龍”となったのか?
■5年で4部から1部へ! ドイツ中を驚愕させる人口1万3000人の“村クラブ”
ドイツ・ブンデスリーガが開幕した。日本代表FW鈴木唯人(フライブルク)の開幕戦ハットトリックにも驚いたが、いま、全ドイツを興奮の渦に巻き込んでいるのは、人口わずか1万3000人の「村のクラブ」、SVエルバースベルクである。
今季ブンデスリーガに初昇格すると、開幕戦、ホームで強豪バイエル・レバークーゼンに3-2で勝利、第2節には、ボルシア・メンヘングラッドバッハを相手に1-3から終盤の3得点で4-3の大逆転勝利。2連勝を飾った。
「村のクラブ」の昇格物語は、それ自体が「夢」のようだ。
現在、ドイツのサッカーは、ブンデスリーガが1部から3部まであり、その下が地域リーグ、さらに下がオーベルリーガなどの名がある。しかし時代によって名称も異なるので、この稿では「1部、2部…」としていく。エルバースベルクは、つい最近、2021/22シーズンまで「4部」に所属していたのである。そこから5シーズンで一挙に1部に昇り詰めた。
2022/23シーズンは「3部」で優勝して昇格1年で「2部昇格」を決めた。クラブ史上最高ランクのリーグである。そして2部でも、1年目の2023/24シーズンこそ11位だったが、2年目は3位、3年目の2025/26シーズンに2位を確保して1部昇格を達成してしまったのである。日本でいえば、JFLのクラブが5シーズンでJ1まで昇り詰めたということになる。
その「昇り龍」ぶりだけではない。SVエルバースベルクのホームタウンが、ドイツ南西部、フランスに近いザールラント州にある面積11.42平方キロ、人口1万3080人(2022年の国勢調査)という「シュピーゼン・エルバースベルク」という小さな自治体であることが、ドイツにとどまらず、世界の注目を集める理由になっている。
































