世界最大の祭典は、熱狂とともに苦い後味を残した。巨額のマネーを生み出すワールドカップは、いまや権力者たちの格好のビジネスツールへと成り下がろうとしている。元凶であるジャンニ・インファンティーノFIFA会長は、自らの実績作りのために独裁者たちへ擦り寄り、アメリカ式ビジネスをサッカー界に持ち込んだ。暴走する会長の素顔と、混沌とする次期会長選の行方を、サッカージャーナリスト・後藤健生があぶり出す!【第3回/全3回】
■EURO拡大の成功体験と“独裁者たち”との危険な交際術
無名のインファンティーノに何かできるのか? それはFIFAの収益増だった。
インファンティーノのUEFA事務局長として最大の実績は欧州手権「EURO」の出場チーム数を16から24に増やすことによってUEFAの収益を増やしたことだった。それと同じことをFIFAでも実行しようとしたのだ。
増加した収益の一部はサッカー振興のために各国のサッカー協会に分配され、その資金によって後進国の貧しい国でもトレーニング施設やスタジアムを整備できる。それが、収益増加の大義名分となったし、支援を受けた各国協会は次の会長選挙ではインファンティーノ会長の支持に回るというわけである。
インファンティーノ会長就任後、2018年と2022年のワールドカップはそれぞれロシアとカタールで開催された。両国が開催国に決まったのはインファンティーノ会長就任以前のことだったが、どちらも政権交代の可能性がほとんどない権威主義国家だった。
FIFAが開催国と良好な関係を築くことは当然のことで、インファンティーノは両国の統治者であるウラディミール・プーチン大統領やタマーム・ビン・ハマド首長との関係を構築。こうして、インファンティーノは“独裁者との交際術”を身につけた。






























