世界最大の祭典は、熱狂とともに苦い後味を残した。肥大化する商業主義の果てに、ワールドカップそのものが投資家たちへの「売り物」にされる危険性すらあったという。
この大騒動の元凶こそ、ジャンニ・インファンティーノ現FIFA会長だ。権力を維持するためにW杯決勝の開催地すらエサにする「黒い政治力」と、収益2兆4000億円でも満足できない「底なしの強欲」を、サッカージャーナリスト・後藤健生があぶり出す!【第1回/全3回】
■わずか4日のドタバタ劇…変わり身の早さは「さすがFIFA」
FIFAを巡る大騒動は一向に収まる気配がない。
2026年ワールドカップが閉幕してから約1週間が経過した7月28日にFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長(スイス)が「FIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)」という子会社の設立計画を発表した。この企業にワールドカップの運営を任せて収益を最大化するとともに、アメリカの投資ファンドの資金を調達しようというのである。
これに対して、UEFA(ヨーロッパ・サッカー連盟)やAFC(アジア・サッカー連盟)などがすぐに反対を表明した。FIFA理事の田嶋幸三前日本サッカー協会会長も反対の意思を表明。FIFAで上級顧問を務めていたカルロス・コルデイロ氏は計画に反対して辞任した。
すると、7月31日になってFIFAは「形勢我に利あらず」と見て、あっさりと計画を撤回してしまった。わずか4日間のドタバタ劇。変わり身の早さは「さすがFIFA」といったところだ。
8月5日にはFIFAは緊急集会を開いて「インファンティーノ会長支持」を決めたが、これはもともと会長の側近を集めての会議だったのだから「支持表明」は当然の結果だった。しかし、この会合はアフリカのモロッコで開かれ、インファンティーノ会長はモロッコ側に2030年ワールドカップ決勝のモロッコ開催を示唆したとも伝えられている。
2030年大会はスペイン、ポルトガル、モロッコの3か国共同開催で行われるが、決勝がどこで行われるかはまだ決まっていない。






























