■ハイライトは夜10時以降。テレビを「敵視」し続けたクラブ側の根強い警戒心

 1964年、BBCは新チャンネルの「BBC2」をスタートさせた。走査線625本という、より解像度の高い放送(地上波がデジタルになる前の日本のアナログ放送は走査線525本だった)で、当初は新型のテレビを持つロンドンの視聴者しか見ることができない放送だった。「これなら、入場者が減る恐れはない」と、変な理由でBBCはフットボールリーグを説得、毎週1試合、土曜の午後6時半にロングハイライトで見せる「マッチ・オブ・ザ・デイ」をスタートさせた。

 解像度の高いテレビ放送は、まさにサッカー中継にうってつけだった。それまでの放送でも、スタジオで撮影するニュース番組やドラマなどはアップの画像を多用することで視聴者を十分楽しませたが、サッカーで広いピッチを映すと、選手もわからず、ボールも見えにくい状況だったのだ。

 ただ、「テレビ放映があると観客数が減る」という思いはクラブ側にまだまだ根強く残っており、どの試合のハイライトを放送するかは試合後まで公表されず、放映時刻も間もなく午後10時以降にされた。「マッチ・オブ・ザ・デイ」はイングランドのワールドカップ優勝によるサッカー人気で1966年夏からBBC1での放映になり、イングランド男性の土曜の夜の楽しみとして定着した。

 だがそれでも、フットボールリーグの生中継は実現までに至らなかった。「テレビはサッカーの敵」という考えを払拭できなかったのだ。なお、「マッチ・オブ・ザ・デイ」は後に日本に輸出され、日本のサッカーの進歩をうながすことになる。

つづく

 

(4)へ続く
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