サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは「現代サッカーの支配者」世界編だ。
現在ではテレビ中継なくしてサッカービジネスは成立しない。しかし、「生中継されるとスタジアムに人が来ない」と本気で信じられ、サッカー界がテレビ放送を徹底的に忌避し続けた時代があった。
■「観客が減る」と信じられ、サッカー界がテレビを忌避した時代
わずか15分間の放送だったが、「実験」は大成功だった。「ピッチ上で見られる戦術、ゴールへのシュート、ドリブル、ゴールキーピングなどを、テレビは見事に見せた。フィルムは使われず、アレクサンドラパレスへの受像機に現れた映像は、グラウンドで見られたものとまったく同じだった」と、『ガーディアン』紙は絶賛した。
翌年4月9日には、ウェンブリー・スタジアムで行われたイングランド×スコットランドの「ホーム・インターナショナル」がフルマッチ中継された。後にイングランドでの数少ない「サッカー生中継」の定番となるFAカップ決勝が初めてテレビ中継されたのも、同じ月のことだった。ただしフルマッチではなかった。
だが、FAカップ決勝など特別なカードを別にすれば、サッカー界はずっとテレビから距離を置き続けてきた。
「テレビ中継があると、スタジアムにファンが来なくなる」
誰もがそう信じ込んでいたのだ。イングランドでは第二次世界大戦後の1946年から英国放送協会(BBC)がサッカー協会やフットボールリーグやクラブに中継許可を申し入れていたが、大半のクラブがにべもなく断った。




































