■VARも飲水タイムも…テレビ局の要求に迎合するFIFA
上部スタンドに取りつけた4本のワイヤーケーブルを操り、高さを変えながら高速移動するテレビカメラは「スパイダーカム」と呼ばれ、1984年にアメリカで開発され、2000年代に実用化されると、サッカー中継不可欠な機材となった。当然、今回のワールドカップでも全試合で使用された。
ボールが空中のカメラを直撃するという事故がないわけではない。しかし、そうした「事故」はごくまれで、スパイダーカムはJリーグでもビッグゲームで使用されている。このカメラやワイヤーにボールが触れたなら、ドロップボールによって試合が再開されなければならない。センサーも感知できず、映像でもよくわからなかった疑惑は、「ウォーターゲート事件(1972年、アメリカのリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだ疑惑事件)」をもじって「ケーブルゲート」と話題になったが、数日で消えた。
今大会では、「スパイダーカム」だけでなく、「レフカム(主審が自分の耳の横につけたカメラ。『主審目線』がテレビ中継で使われた)」も話題になった。こちらは何か疑惑を生んだわけではないが、常に新しい映像で刺激を与えようというテレビ界の欲求に尽きることがないというひとつの証拠だ。そしてその欲求に踊らされているのが、現代のサッカーなのである。
今大会で世界中のサッカーファンからブーイングを浴びた3分間の「ハイドレーションブレイク(本名CMブレイク)」もテレビ放送に迎合する(法外な放映権料の見返りの意味もある)ものだし、ジョセフ・ブラッター前FIFA会長時代の2014年に「ゴールライン・テクノロジー(GLT)」を入れたのも、十分な準備期間もないままにジャンニ・インファンティーノ現会長が強行した2018年ワールドカップ・ロシア大会でのVAR導入も、テレビからのプレッシャーに押し切られたものだった。
































