大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第192回「テレビとサッカー世界編」(1)べリンガム同点弾を生んだケーブルゲート事件、VARも飲水タイムも昼間開催も…元凶はFIFAの迎合の画像
ノルウェー代表戦で、同点ゴールを決めるジュード・べリンガム。そのゴールには疑惑も…。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは「現代サッカーの支配者」世界編だ。
 今年のワールドカップで起きた不可解な事件。その裏には、法外な放映権料を支払うテレビ局の「欲求」に踊らされ、ルールやキックオフ時間すら変容させていく、現代サッカー界の歪なリアルがあった。

■W杯で起きた不可解な「ケーブルゲート事件」の真相

 今年のワールドカップで話題になったことのひとつに「ケーブルゲート事件」がある。日本ではあまり取り上げられなかったが、イングランドやノルウェーではずいぶん話題になった。

 7月11日にマイアミで行われた準々決勝のノルウェー×イングランド。ノルウェーが「伏兵」アンドレアス・シェルデルップの得点で1-0とリードして迎えた前半のアディショナルタイム、ノルウェーGKエルヤン・ニヤンのゴールキックは途中で勢いをなくし、急落下してハーフウェーラインを越えあたりでイングランドがカット。そこから始まった攻撃でジュード・ベリンガムがまるでディエゴ・マラドーナのような同点ゴールを決めた。

 GKニヤンはクレマン・テュパン主審(フランス)のところに走り寄り、「ボールが中継カメラをつるすワイヤーケーブルに当たった」と主張した。「急落下」のシーンを目の前で見ていたノルウェー・ベンチも反応した。たしかに、このGKとしては飛距離が出ず、なんとなく急に失速したようにも見えた。

 得点が決まったのだから、当然、VARがチェックする。しかし詳細に映像を見ても確証は見つけられず、さらに、大会ボールに内蔵されている高精度センサーも何かに接触したことによる振動を感知しなかったため、得点は認められた。

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