■開幕戦よりも大事なもの

 時計はあっという間に午後2時を回り、オープニングセレモニーはもうあきらめた。しかし午後3時に近づくと、私もあせった。開幕戦のキックオフに間に合わないかもしれない―。運転手に「スタジアムまであと2キロ」と聞くと、迷わずバスを飛び降りた。知り合いの日本人カメラマン2人も続いた。

 あと2キロ。私たちはせっせと走った。ところが半分も来ていないころだろうか、突然、カメラマンの一人が叫んだ。「もうだめだ!」

 そして息を切らせながら「オレを置いていってください」と言う。無理もない。カメラマンは、30キロ近くになる機材を持って走っているのである。私ともうひとりのカメラマンが彼を励ましつつスタジアムに到着したのは、3時半近くになったときだった。

 というわけでオープニングセレモニーには間に合わなかった私だが、それを強く悔やんだのは、翌日、同じヨハネスブルクの都心にある「エリスパーク・スタジアム」でアルゼンチン×ナイジェリアを見たときだった。試合前にシャキーラと地元の女性ダンサー、そして子どもたちが踊り、歌う「ワカワカ」の映像が流され、私はひと目で圧倒されたのである。

つづく

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