5月15日、北中米ワールドカップを見据える日本代表メンバーが発表され、フランスで研鑽を積む中村敬斗が順当に名を連ねた。代表選出を受け、「子どもたちに夢や希望を与えられるようなプレーをしてきます。和をもって一丸となって戦ってきますので、全力での応援よろしくお願い致します!」と、ひたむきな決意を口にした中村。
現地9日のリーグ最終節では驚異の4ゴールを奪い、今季14ゴール3アシストと爆発。一方で、所属するスタッド・ランスは惜しくも1部昇格を逃し、さらには日本代表の左サイドで中村とコンビを組んできたエース三笘薫が負傷し、代表メンバーから外れることになった。
激震が走る中、中村が見据えるのは、子どもの頃からの憧れであるワールドカップの舞台だ。ロンドン駐在記者・田嶋コウスケが迫る独占インタビューの第1回は、聖地ウェンブリーで見せた「等身大の自己評価」と、世界で活躍するための「泥臭い覚悟」について。(第1回/全3回)
■「打ったら当たる」一瞬で処理した情報
ウェンブリー・スタジアムでのイングランド代表戦は、中村敬斗にとって自身のキャリアの中でも特別な一戦になった。
会場は、世界屈指のフットボールの聖地。相手はプレミアリーグでプレーする選手たちをそろえるイングランド代表。その舞台で日本代表は勝利を収め、中村自身も三笘薫のゴールをアシストした。 もっとも、本人は必要以上にその舞台を意識していたわけではなかったという。
「ウェンブリーだからと言って、あまり考えていなかったですけど。もちろん初めてあのピッチに立ちました。すごく大きくて臨場感のあるスタジアムだなとは感じましたけど、あまり考えすぎないようにはしていましたね」
大舞台に飲まれない。むしろ、自然体のまま自分のプレーに集中する。その落ち着きが、アシストにつながった。
左サイドでボールを受けた中村は、シュートを狙うような姿勢を見せた。だが次の瞬間、走り込んできた三笘へラストパスを通した。本人はあの場面をこう振り返る。
「マーカーが、僕の打ちたいシュートコースにいた。『打ったら当たるな』と考えたのと、シュートを打っても『曲がりきらずに枠に入らないな』と。それで右足でボールを持っているときに、三笘選手が走り込んでくるのが見えた。それで、パスを出したという感じでした。でもあのプレーも、本当に感覚でやりましたね」
感覚。中村はそう表現する。もちろん、その「感覚」は偶然ではない。シュートコースを見極め、相手の立ち位置、三笘の動き出し、自分の得意な形を咄嗟に判断した。
複数の情報を一瞬で処理したうえで、最適な選択を下した。ウェンブリーの大舞台でも、中村のプレーは硬くならなかった。


























