■「阿吽の呼吸」を生むための絞り込み戦略
今年の大躍進を支えた大きな要因の一つに、徹底されたチーム編成の整備が挙げられる。かつてのSTVVには17カ国近い選手が在籍し、連携面や文化の違いで課題を抱えていた。しかし現在は、あえて「9カ国」にまで選手の国籍を絞り込んでいる。
「サッカーにおいて最も重要なのは、言葉を超えた『阿吽の呼吸』です。文化や地域性が近しいグループを形成することで、チームとしてのまとまりを最短で構築しようと試みました」
立石CEOが描く理想は、「ベルギーのローカル選手と日本人の選手だけで戦うこと」だという。そのためにスカウト網をベルギー国内や隣接するオランダ、イギリスなどに限定し、言語も英語・フランス語・オランダ語・日本語で密なコミュニケーションが取れる環境を整えた。この「多国籍からの絞り込み」という逆張りの戦略こそが、独自の強みを発揮し、歴史的な勝点を積み上げられた最大の要因となった。
つづく
立石 敬之(たていし・たかゆき)
1970年生まれ、福岡県出身。現役時代は大分トリニータなどでプレー。引退後は指導者の道を歩み、大分やFC東京でコーチ、強化部長を歴任。2015年にFC東京のゼネラルマネジャー(GM)に就任し、クラブの強化を統括した。2018年よりシント=トロイデンVV(STVV)の最高経営責任者(CEO)を務める。日本サッカーの育成システムと欧州のマーケットを熟知し、数多くの日本人選手を世界へと送り出し続けている。著書に『史上最強のサッカー日本代表をつくるために僕はベルギーへ渡った』(日経BP)がある。























