■勝利の女神がほほ笑んだのは…

 迎えたPK戦、ベレーザに幸運の女神がほほ笑んだ。

 先攻の大宮の2人目のキックがバーに阻まれると、続く岩清水梓のキックもバーを直撃。しかし、跳ね返ったボールは、その下に飛んでいたGKの背中に当たってゴールの中へ吸い込まれた。決勝直前に今季限りでの引退を発表した、2011年W杯優勝メンバーである岩清水が「サッカーの神様っているんですね」と語るしかないほど、運命的な分岐点だった。

 これで明確な流れが生まれると、ベレーザのGK大場朱羽がそこから2本連続でストップ。WEリーグならではのクリーンさとカップ戦決勝らしい激闘、そしてドラマティックさが合わさった一戦を制し、ベレーザがタイトルを獲得した。

 野々村芳和チェアマンは「ゲームの雰囲気、内容も両チーム素晴らしかった。凄く良い作品にしてくれた。(WEリーグが)目指したいものに近いものを見せてくれたと思う」と激賞。表彰式後も、準優勝の大宮の選手たちが全員笑顔で写真に収まり、相手サポーターへ挨拶に向かってエールを送られるなど、選手たちは最後までWEリーグらしい美しいありかたを見せ続けた。

 歓喜の余韻の中、岩清水は仲間に囲まれ、愛する息子とともにトロフィーを掲げていた。彼女は、2011年のW杯優勝メンバーというだけでなく、2020年の出産を経てピッチに復帰し、育児をしながらトップレベルでサッカーを続けた偉大なWEリーガーだ。

 その尊い光景を見ていると、サッカーの神様が、WEリーグのショーケースでもあったこの大舞台で「あまりに出来すぎだとわかっていながらも、最後に彼女にほほ笑みたくなった」気持ちが、少しだけわかる気がした。


■試合結果

RB大宮アルディージャWOMEN 2(1PK3)2 日テレ・東京ヴェルディベレーザ

■得点者

3分 西尾葉音(RB大宮アルディージャWOMEN)
51分 小林里歌子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
100分 北村菜々美(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
114分 阪口萌乃(RB大宮アルディージャWOMEN)

PHOTO GALLERY ■【写真9枚】ベレーザ歓喜の瞬間にレジェンド2人も!今季限りで引退のDF岩清水梓が息子と掲げた優勝トロフィー
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