個の力とコンビネーションでねじ伏せる左サイドに対し、オランダの右サイドは緻密な「戦術」をまじえて森保ジャパンの隙を突いてくる。日本代表が警戒すべきは、攻撃時に中盤の形を変える可変システム“クーマン・スクエア”だ。
現地全国紙の記者とも親交が深い中田徹氏が、巨漢サイドバックを攻撃に専念させる巧みな仕組みと、日本の脅威となるオランダの緻密な仕掛けを浮き彫りにする。(第4回/全8回)
■基本戦術「クーマン・スクエア」
一方、ノルウェー戦のオランダは、右サイドの攻略を右SBデンゼル・ドゥムフリースに任せた。ドゥムフリースも188cmの大男で、足元の技術は拙いが、弱点を補ってあまりあるパワー、走力、気迫がある。ノルウェー戦では51分にMFタイアニ・ラインダースの決勝ゴールをアシストした。このシーンでは右ウイングのテウン・コープマイナースが、しっかりドゥムフリースの上がったポジションを埋めていたのが利いていた。
オランダのアキレス腱の一つが右ウイングだったが、予選の終盤、ドニエル・マーレンがハマったことでレギュラーに関しては解決された。しかし、ジェレミー・フリンポンはドゥムフリースと動きが被ってしまい、シャビ・シモンズは守備のタスクで不合格と、予選中のロナルド・クーマン監督はこのポジションの最適解探しに相当苦労した。
要は層が薄い。そこでノルウェー戦でクーマンは欧州予選でまったく出場機会のなかったMFコープマイナースの右ウイング抜擢をテストした。
コープマイナースの適性はセントラルMF、ないしはリンクマン(守備と攻撃をリンクする、接続させる選手。つなぎ役)だが、CB、トップ下でもプレーでき、AZの先輩、フィリップ・コクーの血筋を引くような超多機能プレーヤーだ。
月に2試合しかない欧州予選では層の厚い中盤の競争に押し出された格好となったが、長丁場のW杯本番では欠かすことのできないプレーヤーだ。ノルウェー戦でコープマイナースに託されたタスクは、ドゥムフリースが攻め上がる道筋を開けること。守備では右サイドにステイし、相手の左サイドアタックをケアすること。ポゼッションでは“クーマン・スクエア”を作って中盤に関わること――だ。後述するが、セットプレーのキーマンも任された。













