■東京五輪の「10番候補」が味わった苦悩からの復活

 現在27歳の食野。G大阪の下部組織で育ち、当時活動していたU-23チームで頭角を現すと、2019年にはトップチームでゴラッソ弾を連発し、エース級の働きを披露。“メッシーノ”の愛称とともにサポーターの心をわしづかみにした。

 同年8月には世界的メガクラブであるマンチェスター・シティと契約を結んで大きな話題を集め、海を渡った。2020年、2021年と東京五輪を目指したU-23、U-24日本代表にも選出され、背番号10を背負うなど、その未来は希望に満ちていた。

 しかし、レンタル移籍先のスコットランドやポルトガルで思うような結果を残せず、2022年に古巣・G大阪へ復帰。帰還後もかつての思い切りの良さと得点感覚を取り戻しきれず、2024年(リーグ戦11試合)、2025年(リーグ戦9試合)とまさかのノーゴールに終わり、控えの立場から抜け出せずに苦しい時間を過ごした。

 だが今季、イェンス・ヴィッシング新監督から評価された食野は、開幕から出番を得る。第4節の清水エスパルス戦で泥臭くリーグ戦2年半ぶりのゴールを奪うと、この日は自身の真骨頂とも言える爽快なゴラッソ弾。ゴール後の膝スラパフォーマンスも完璧に決めてみせた。

 どん底から這い上がり、かつての輝きを完全に取り戻した背番号8。過酷な連戦を前に、G大阪ファンも“メッシーノの完全復活”を確信したはずだ。

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