聖地ウェンブリーで、強豪イングランドを相手に「プレミア上位クラス」の組織力を見せつけ、1−0で勝利した日本代表。現地の英メディアが「W杯で日本はダークホースになるだろう」と舌を巻く中、当の日本代表の選手たちに浮かれた様子は微塵もなかった。
三笘薫は「ほとんどボールも握られている。そのギャップを埋めないと痛い目に遭う」と語り、鎌田大地も「これを当たり前にしなければ」と気を引き締める。
ロンドン在住のサッカー記者・田嶋コウスケ氏が、選手たちの冷静な発言の真意を紐解き、日本代表が本気で「W杯優勝」という夢を現実に引き寄せるために残された“宿題”に迫る。【第2回/全2回】
個々の働きも見逃せなかった。
左WBで先発した中村敬斗のドリブルは、ボールを細かく足元に置きながら縦にも斜めにも運べる独特のクオリティがある。プレミアでもスピード型のウイングは多いが、彼のようにリズムをずらし、ぬるぬると滑り込んでいくタイプはそう多くない。途中交代で退いたベン・ホワイトとのマッチアップは中村の勝利に終わった。
また鎌田は立ち位置とボールを受ける位置が抜群で、試合とポゼッションの流れを整える役割を完璧にこなした。
佐野海舟は中盤でボールを刈り取り続け、GKの鈴木彩艶はフィードでチームに落ち着きをもたらした。個々の活躍もまた、今回の勝利の大きな要因だろう。
ただ当の選手たちに浮かれた様子はなかった。
三笘は試合後、「今までやってきた戦い方をすればという自信はあった」と語りつつも、「ほとんどボールも握られている。そのギャップは埋めていかないと本大会では痛い目に遭う」と冷静に振り返った。
鎌田もまた、「理想としていたゲーム展開に持っていけた」と手応えを口にしながら、「もっとこれを当たり前にしないといけないし、もっと50−50で戦えるようにしないといけない」と気を引き締めていた。
強豪相手の勝利に酔うのではなく、その中に残った不足を見ようとしている。今の代表選手たちは実に頼もしい。
森保一監督も同じ温度感だった。
選手たちが我慢強く戦い、役割と組織性の両方を最後まで表現したことを高く評価しつつ、イングランドに主力が揃っていなかったことを踏まえ、「本番ではもっと厳しい戦いを覚悟しないといけない」と話していた。
実際、欲を言えば見てみたかったものはある。

















