現在、中東情勢は緊迫の度合いを深めている。アメリカによるイランへの軍事行動は、圧倒的な戦力差があるにもかかわらず泥沼化の様相を呈しており、今夏に控える北中米ワールドカップなど、サッカーの国際大会への影響も強く懸念されている。大国・アメリカの戦略には、国際法上の問題以外にも「ある決定的な視点」が欠けているのではないか。世界中のスタジアムを旅してきた蹴球放浪家・後藤健生は、過去の歴史と自身の経験から「アウェイ戦における地形の読み解き方」という独自の視点で、この戦争の行方と危うさを浮き彫りにする。
■日本上陸へアメリカ軍が狙った街
紙の上に印刷された地図だけでは分からないことです。実際の土地はけっして平坦ではありませんし、鬱蒼とした森もあれば、泥沼のような湿地帯も、乾燥した砂漠もあるのです。
たとえば、第2次世界大戦末期にアメリカ軍は日本本土上陸を計画していました(実際には、原爆投下やソ連の参戦によって日本が1945年8月に無条件降伏をしたので、上陸作戦は実施されませんでした)。
アメリカ軍が上陸しようとしていたのは、相模湾に面した神奈川県茅ヶ崎市付近でした。
千葉県の九十九里海岸には広い海岸があるので上陸の候補地でしたが、九十九里から東京方面に攻め込むには途中、水田を含めた湿地帯(沖積平野)があるので戦車が進みにくくなってしまうのが難点でした。
神奈川県でも茅ヶ崎より西の、たとえば平塚付近に上陸すると、相模川を越える渡河作戦が必要になります。その点、相模川より東の茅ヶ崎付近に上陸すれば、台地上を通ってそのまま横浜や東京に進軍できますし、相模川の橋を落としてしまえば西日本から駆けつけてくるであろう日本軍をそこで足止めさせることもできます。
こうして、茅ヶ崎市付近が上陸地点に選ばれたのです。
地図を平面として見ていては分からないことです。















