スポーツと政治は交わるべきではない。だが、戦争の開始など異常事態のぼっ発で、政治がスポーツににじり寄ってくる。世界中で起きている危険な兆候を、サッカージャーナリスト後藤健生が記す。
■ホワイトハウスにメッシ
先週、アメリカのトランプ大統領がイランに対する軍事作戦の成功を豪語しているニュース映像の中で、画面右側、大統領の肩上あたりにルイス・スアレスの顔を見つけて驚いた方もいるのではないだろうか。
大統領を正面から捉えた映像には映り込んでいなかったが、カメラが振られると画面の左端あたりにはリオネル・メッシの顔もあった。
ホワイトハウス(大統領官邸)でメジャーリーグ・サッカー(MLS)カップに優勝したインテル・マイアミの祝勝会が行われていた席で、大統領がイランの軍事作戦について語り出したのだ。
アメリカでは大統領が4大スポーツなどで活躍したスポーツ・チームと面会する式典がよく行われる。日本でも、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)のワールドシリーズを制したロサンゼルス・ドジャースが大統領を訪問して大谷翔平が大統領と言葉を交わしたといったニュースが報道される。
それ自体に問題はない。
日本でもオリンピックなどで優秀な成績を残したアスリートに国民栄誉賞が与えられることがあるが、スポーツ選手が政治指導者と対面する回数はアメリカの方が多い。それは、アメリカではスポーツの社会的地位が日本以上に高いということを示している。
だが、スポーツ選手とともにいる場で大統領が政治的な演説を行うことによって、スポーツは政治に利用されてしまう。








