■両SBは水戸の大森と飯田に

【GK】田中颯(徳島ヴォルティス)38試合出場、プレータイム3420分

 リーグトップ6のレギュラーGKで、全試合フルタイム出場は田中だけ。失点24は2位を大きく引き離してのリーグ最少。クリーンシートは全試合の半分にあたる19試合を数えた。高さと強さを兼備した3バックも評価されるが、田中も勝点奪取につながる好セーブを見せている。ベストイレブンにふさわしいプレーを見せた。

 

【CB】市原吏音(RB大宮アルディージャ)29試合出場、2565分

 29試合の出場にとどまったのは、U-20日本代表の活動に参加したため。ブラジル人CBガブリエウが離脱した8月以降は、ディフェンスリーダーの性格をさらに強めて守備を統率した。彼が触っていなければ失点を覚悟した、というクロスを何度となくクリアした。左右両足を駆使し、ボールの軌道と長短を使い分けるビルドアップは、J1のCBにも見劣りしない。プロ2年目の20歳とは思えないほどに堂々と、冷静に、落ち着いてプレーしている。

 

【CB】山田奈央(徳島ヴォルティス)35試合出場、3001分

 リーグ最少失点を記録した徳島で、水戸ホーリーホックから移籍1年目で3バック中央を任された。カバーリング能力に長けており、守備範囲が広い。カウンターを浴びた局面でしばしば相手のクロスやシュートをブロックした。ゴール、アシストは記録していないものの、攻撃面での貢献度が低いわけではない。左右両足から繰り出すフィードで、局面を変えることもできる。

 

【右SB】飯田貴敬(水戸ホーリーホック)37試合出場、3329分

 攻守両面で高い安定感を示した。適切なタイミングで攻撃に関わり、チーム2位タイの5アシストを記録。守備でもスキのない対応で、失点がリーグ最少2位タイの堅守を形作った。31歳のベテランが担う右サイドは、攻撃も守備も安心して見ることができていた。

 

【左SB】大森渚生(水戸ホーリーホック)38試合出場、3420分

 J2優勝のチームで、ただひとり全試合フルタイム出場を記録。左足のキック精度に定評があり、ビルドアップやアーリークロスなどでチャンスメイクをしつつ、リスタートのキッカーとしても機能した。右SB飯田と大森をセットで獲得したことで、水戸の攻撃は左右どちらとも相手の脅威となった。初のJ1昇格に不可欠なピースだった。

 

【ボランチ】山口蛍(V・ファーレン長崎)32試合出場、2710分

 ヴィッセル神戸から加入した元日本代表は、ゲームコントローラーとしてチーム全体を方向づける働きを見せた。自分たちがボールを握る試合が多いなかで、3列目から敵陣深くまで飛び出してフィニッシュに絡む動きは、対戦相手にとって厄介だった。自身が決めた3つのゴールは、いずれも勝点奪取につながる貴重なものである。

 

【ボランチ】高嶺朋樹北海道コンサドーレ札幌)35試合、3115分

 1年でのJ1復帰を目ざしたチームは、スタートダッシュに失敗して昇格圏へ浮上することなく12位でシーズンを終えた。ベルギーから古巣に帰還した高嶺は主将を任され、本来のボランチに加えて左SBなどでもプレー。そのユーティリティ性でもチームを支えた。チームトップのプレータイムを弾き出し、チーム唯一にしてキャリアハイとなる2ケタ得点(10ゴール)を記録。高いプレー強度で守備でも貢献した。

【攻撃的MF・FW・監督・控え編へ】
(2)へ続く
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