四大文明の古代から、人類は水の近くで発展を遂げてきた。その流れは現代にも続いており、サッカーも無縁ではない。蹴球放浪家・後藤健生が、サッカーと川の「深~い」関係をつづる。
■日本と欧州の「川の違い」
僕が初めてワールドカップ観戦に出かけたのは、今から51年前の1974年西ドイツ大会でした。そう、フランツ・ベッケンバウアーとヨハン・クライフの大会です。
大会の前後には西ドイツやオーストリアを中心にヨーロッパ各国を回って約2か月の旅行をしました。いつも言っていることですが、「ヨーロッパに行くことなど一生のうちに何度もあることではない」と思っていたからです(それが、当時の常識でした)。
各地でいろいろなものを見て回りましたが、ひとつ僕にとって印象深かったのは「川」の景色でした。どうも、日本の川とは違うのです。
スイスからドイツ西部を北流してオランダ領内で北海に注ぐライン川やドイツ南部に源を発して東ヨーロッパ諸国を通ってルーマニアから黒海に注ぐドナウ川といった大河は日本ではなかなか見ることができません。
一番の違いは、その水量でしょう。
日本の川は(都市部を除いて)堤防と堤防の間に広い河川敷があって、その河川敷の砂利の中を細い川が曲がりくねって流れていることが多いようです。通常時には川幅はそれほど広くなく、水量もそれほど多くはありません(ただし、大雨が降ると急に増水して氾濫します)。
ですが、ライン川やドナウ川を見るといわゆる「河川敷」のようなものがなくて、川幅いっぱいを滔々と川が流れています。水量がまるで違うのです。







