後藤健生の「蹴球放浪記」第281回「不思議の国メキシコの思い出」の巻(2)トマトがない「イタリアン」、唐辛子がない「キムチ」…メキシコが救った「世界の台所」の画像
メキシコ・ワールドカップ決勝の入場券。決勝だけゴールド! 提供/後藤健生

 これまで13回のワールドカップを現地で観戦した蹴球放浪家・後藤健生。その中で最も面白かったのは、2度のメキシコ大会だという。そしてマラドーナ、プラティニ、ジーコら各国を代表するスター選手たちの活躍とともに忘れられないのは、メキシコという国そのもの。どういうことか。来年のワールドカップの開催国である不思議の国メキシコを、蹴球放浪家が語る!

■中南米の「野菜」が世界を救う

 その他にも新大陸原産の食材は数限りなくあります。

 イタリア料理といえばトマトを思い浮かべますが、これもメキシコ原産(南米という説もあります)。コロンブス(イタリア人のクリストフォロ・コロンボ)が新大陸に到達して、航海者たちが現地の植物を持ち帰ってくるまで、イタリアにはトマトは存在しなかったわけです。

 同じようにドイツ料理といえばジャガイモですし、19世紀の飢饉のときにアイルランド人はジャガイモを食べてしのいだそうですが、ジャガイモも南米アンデス地方原産ですから、15世紀のドイツ人はジャガイモを見たこともなかったのです。

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