
サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような超マニアックコラム。今回は、日本や世界の「ゴールのある」風景。
■機能的には問題なし?「変なポスト」
ゴールポストに息がかかるのではないか―。そう感じたのは、2016年、横浜の日産スタジアムの横にある「しんよこフットボールパーク」で行われた「追加副審」の研修会である(【写真15】)。インストラクターのシャムスル・マイディンさん(シンガポール)の指導下、「追加副審」役でゴールを割ったかどうかを見極めているのは、村上伸次さん(元プロフェッショナルレフェリー)である。私は、この方式はとてもいいと感じたのだが、残念ながら「VAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)」を強く推すFIFAの意向で、今では忘れられた存在になってしまった。

【写真16】の奇妙な点に気づかれた読者はいるだろうか。実は、ゴールポストの「角」が普通ではないのだ。通常、こうしたゴールを見ると、斜めにカットした3本の鉄管を溶接でつなぎ、内側を直角につくっている。しかしこのゴールは、1本の長い鉄管に熱をかけて曲げて成型したようなのだ。その結果、直線が90度で交わっているはずの「ポスト角の内側」が、「4分の1円」になってしまっている。しかしご安心を、直径約22センチあるサッカーボールは、この写真程度の「円弧」では影響を受けず、「ゴールとしての機能」には何の問題もないのである。
