大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第169回「人生いろいろ、ゴールもいろいろ」(3)VARに駆逐された「追加副審」、W杯予選で見た「世界一のサッカー場」、コンフェデ杯「父と子のゴール」の画像
このゴールの「奇妙な点」に気づかれた読者はいるだろうか。実は…詳しくは本文をご覧あれ。©Y.Osumi
■【画像】忘れられた「追加副審」(写真15)から世界一の「サッカー場」(写真20)、「父と子」のゴール(写真21)まで、世界のゴール珍百景(3)
 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような超マニアックコラム。今回は、日本や世界の「ゴールのある」風景。

■機能的には問題なし?「変なポスト」

 ゴールポストに息がかかるのではないか―。そう感じたのは、2016年、横浜の日産スタジアムの横にある「しんよこフットボールパーク」で行われた「追加副審」の研修会である(【写真15】)。インストラクターのシャムスル・マイディンさん(シンガポール)の指導下、「追加副審」役でゴールを割ったかどうかを見極めているのは、村上伸次さん(元プロフェッショナルレフェリー)である。私は、この方式はとてもいいと感じたのだが、残念ながら「VAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)」を強く推すFIFAの意向で、今では忘れられた存在になってしまった。

【写真15】ポストをはさんで見極める村上さんも正確無比なことがわかるが、この「状況」をつくったシューターやGKも「凄技」だ。©Y.Osumi

【写真16】の奇妙な点に気づかれた読者はいるだろうか。実は、ゴールポストの「角」が普通ではないのだ。通常、こうしたゴールを見ると、斜めにカットした3本の鉄管を溶接でつなぎ、内側を直角につくっている。しかしこのゴールは、1本の長い鉄管に熱をかけて曲げて成型したようなのだ。その結果、直線が90度で交わっているはずの「ポスト角の内側」が、「4分の1円」になってしまっている。しかしご安心を、直径約22センチあるサッカーボールは、この写真程度の「円弧」では影響を受けず、「ゴールとしての機能」には何の問題もないのである。

【写真16】さすがは技術大国日本。12センチの太さのあるアルミニウムの管を曲げるのも自由自在?©Y.Osumi
PHOTO GALLERY ■【画像】忘れられた「追加副審」(写真15)から世界一の「サッカー場」(写真20)、「父と子」のゴール(写真21)まで、世界のゴール珍百景(3)
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