■「埋め込み」「コロコロ」「折り畳み」式も!

「埋め込み式」はトップクラスの競技用。通常は、練習場も、多くの競技場でも、「据え置き式」で行う。Jリーグのクラブの練習を見に行くと、ゴールを運ぶのはコーチやスタッフの仕事のようだが、【写真04】を見よ、プロ以外は、基本的に選手たちがゴールを運び、設置するのである。ときには、そこにネットを持ってきて張る仕事も必要になる。だがチームワークとは、こうした仕事を力を合わせてすることで、生まれるものだと、私は考えている。

【写真04】練習はゴール運びから始まる。誰かに負担がかからないよう、みんなで心と力を合わせることは、サッカーチームにとって不可欠な要素だ。©Y.Osumi

 外国でよく見られるのが、少人数(1人か2人)で運べるゴールである。軽い素材でできているわけではない。重さは100キロ近くになるだろう。しかしゴールの底面に車輪がついていて、ハンドルでゴールを浮かせ、コロコロと運んでいくのである【写真05】。この写真のゴールの車輪はゴールとの角度が固定されているため、運搬には2人が必要だが、一段階上げて車輪が自由な角度を取れるようにし、1人で運べるゴールを見たことがある。

【写真05】2012年ロンドン五輪の終盤、コベントリーとカーディフを経て準決勝でロンドンに戻ってきたなでしこジャパンの練習場で。©Y.Osumi

【写真06】はもっと簡便なもの。ゴールを支える「台形」の部分がちょうつがいで内側に折り曲げられるようになっており、畳めばホイホイと2人で運ぶことができる。本格的なゲームに使うのは難しいかもしれないが、「ミニゲーム」なら問題ない。このゴールは、1998年のフランス・ワールドカップに初出場した日本代表が大会中滞在して毎日の練習を行った「エクスレバン」のグラウンドにあったものだ。

【写真06】ポストも細く、軽量の移動式ゴールは、スモールサイズのゲームなどに最適だ。©Y.Osumi

【写真07】も「折り畳み式」である。川崎の等々力競技場に行く途中、多摩川に「丸子橋」という大きな橋がかかっているが、その橋から下を見ると、少年サッカーの試合の真っ最中だった。そのゴールは、よく見ると、強化プラスチック製のような軽い素材を組み合わせたもので、少年チームのコーチがバンの荷台に載せてきてホイホイと組み立てた様子が目にうかんだ。

【写真07】二子橋を川崎側(等々力競技場側)に渡ると、広大な河川敷が広がる。心地良い風に吹かれながら、しばらく少年サッカーを見ているのが好きだ。©Y.Osumi
(2)へ続く
PHOTO GALLERY ■【画像】代表監督解任を決めた「久保建英」活躍のゴール(写真02)から河川敷で役立つ「折り畳み式」ゴール(写真07)まで、世界ゴール珍百景(1)
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