クラブW杯で施行も「大混乱なし」、新ルール導入で進む「戦術的工夫」、GKがボールを持った瞬間に「攻防開始」【Jリーグで8月導入「GKの8秒ルール」ゲームへの影響と残された課題】(1)の画像
キック1本で「決定機」を生み出す浦和レッズGKの西川周作。彼にも今後、さらなる役割が求められることになる。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 この夏、サッカーに「新たな見どころ」が加わるかもしれない。要因となるのは、Jリーグで8月頭から適用される新しいルール、ゴールキーパー(以降、GK)の「8秒ルール」である。この新ルールは、Jリーグに、どのような影響をもたらすのか。サッカージャーナリストの後藤健生が検証する。

Jリーグで「新ルール」適用

 8月に入るとJリーグの中断期間が終わり、J2リーグは8月2日、J1リーグは同9日にそれぞれ再開の予定だ。そして、再開とともにJリーグでも「新ルール」が適用されることになる。

 最大の注目点はGKに対する「8秒ルール」である。

 新ルールの概要については『サッカー批評』でも大住良之さんが紹介してくれているので(5月6日付「7月1日施行『8秒ルール』で日本サッカー界はこう変わる」)、改正の内容などについてはそちらの記事に譲ることにするが、この新ルールがサッカーのゲームにどういう影響を与えるのか。そして、時間の浪費を防ぐために、今後どのような方法を取るべきかについて考えてみたい。

「8秒ルール」は、すでに6月から7月にかけてアメリカで開催されたFIFAクラブ・ワールドカップで施行されていた。僕はこの大会の試合をずっと観戦していたわけではないが、大きな混乱はなかったようだし、新ルールがGKたちに大きな負担になっているようにも見えなかった。

 つまり、「8秒」というのは、GKがボールを処理するには十分な時間なのだろう。Jリーグでも、新ルールの適用によって混乱が生じることはないはずだ。

 しかし、このルールが各国のリーグ戦で本格的に適用されると、さまざまな形で新ルールに対する戦術的工夫が行われるはずだ。そして、その結果としてサッカーの試合が思わぬ方向に変わっていくことになるかもしれない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3