■”ピッチ上の統率者”に
特に恩恵を受けたのは、チームメートの俵積田晃太ではないか。目に付いたのが、後半16分に相手大外にいた23番・シエ・ウェンノンに対するポジショニングだ。長友が身振り手振りで指示を送ると、俵積田は頷いていたが、そうやって微妙に立ち位置を修正してくれる”ピッチ上の統率者”がいてくれれば、迷うことなく1つ1つの仕事に集中できるはずだ。
18歳とは思えない躍動感を見せ、日本の攻撃陣をけん引した佐藤龍之介にしても同様だが、世界トップレベルと長年、渡り合ってきた20歳年上のプレーヤーがいることで、チーム全体がより強固な一体感を持って勝利につき進めたのは事実。その存在価値の大きさを我々は今一度、再認識させられたと言っていい。
今回の代表のトレーニングを見ていても、いまだに一番大声を出して盛り上げているのはこの男だ。10日の練習時に森保一監督が「コーチから言われたことだけをやるんじゃなくて、自分からもっと要求して」と声を荒げる場面があったが、長友だけはその指示に深く納得していたのではないか。代表というのはもっともっと自ら率先してアクションを起こさなければいけない集団。それが寄せ集めだろうが、経験不足だろうが、言い訳は許されない。そういった厳しさも彼は身を持って示そうとしていたはずだ。