■必要なベテラン選手
だからこそ、森保監督はこの男をあえて呼び戻し、ずっとチームに帯同させていたのだろう。過去の日本代表を見ても、ベテラン選手の価値というのは非常に大きい。日本がベスト16進出を果たした4度のW杯を振り返っても、2002年日韓大会の中山雅史(沼津監督)、秋田豊(高知監督)、森島寛晃(C大阪会長)が献身的なサポートを披露。2010年南アフリカ大会も試合に出られなかった川口能活(磐田GKコーチ)や中村俊輔(横浜FCコーチ)がエゴを出さずに裏方に回った。
2018年ロシア大会では当時34歳だったキャプテン・長谷部誠(日本代表コーチ)ら30代の面々が中心となってチームを引っ張り、2022年カタール大会では川島永嗣(磐田)が出番のない中、涙ながらに熱い思いを吐露。全員を奮い立たせたのだ。
そういう例を見ても分かる通り、やはり日本代表にベテラン選手は必要だ。特に長友のような折れない心を持った人間はある意味、超人であり、代役は見つかりそうもない。今回、重要性が再確認されたことで、今後も長友はメンバーに名を連ねていきそうだ。
ただ、その前に15日の日韓戦である。彼がピッチに立つチャンスはないかもしれないが、キャプテンとして勝利への機運を作ることが肝要だ。ここからも絶大な影響力を発揮し、森保ジャパンをタフなチームにすべく、全力を尽くしてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)