■仙台は磐田相手に撃ち合いを望まず

 前半の仙台は、自陣での攻防を強いられる。警戒する倍井に右サイドをえぐられることはなかったものの、左SBの松原后をフリーにする場面があった。18分、ペナルティエリア内で右SB奥山と右CB井上詩音の間に立つ松原を、まったくのフリーにしてしまう。ハーフスペースに立つ松原をCBがつかまえるのか、右SBが絞って対応するのか、ボランチが戻るのかが、整理されていなかった。シュートに持ち込まれることはなかったものの、危険なシーンを作られてしまった。

 23分には左サイドを崩される。磐田の右SB為田大貴がトップ下の佐藤凌我へ縦パスを入れると、仙台は左CB菅田真啓が佐藤についていく。左SB石尾陸登は、右ウイングのジョルディ・クルークスとの間合いを詰めている。菅田と石尾の背後のスペースが大きく空いてしまい、ボランチの金子大毅にこのスペースへ侵入されたのである。金子の飛び出しに対して、オフサイドを取ろうとする選手と、金子についていこうとする選手が出てしまい、クロスを入れられてしまったのだった。失点とはならなかったものの、守備の対応に課題を残す場面が続いた。

 それでも、仙台は前半を無失点で終える。攻撃の形をなかなか作れなかったが、そもそも撃ち合いは望んでいない。前半をスコアレスで折り返すのは、悪くなかったと言える。左サイドでは石尾が、クルークスに決定的な仕事をさせなかった。

 あとは、どうやって磐田のゴールをこじ開けるのか、である。

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