■「見せてほしい」現実的な戦い方
長期的には、パワーとスピードのある選手を育てていかなくてはならない。
日本の女子選手にも、パワーのある選手は増えてきている。攻撃面では、推進力が売り物の清家貴子が2戦連続でゴールを決めたし、守備面でも髙橋はなや石川璃音、古賀塔子は強さのあるDFだ。ニールセン監督は千葉玲央海菜を2戦連続で左サイドバックで起用したが、彼女も強さでは負けない選手だ。
ちなみに、清家、髙橋、石川はいずれも浦和レッズレディースの選手だ(清家はその後、イングランドのブライトンに移籍)。
浦和が、楠瀬直木監督(新シーズンから日テレ・東京ベレーザの監督)の下、パワーを生かしたサッカーに取り組んできた成果と言ってもいいだろう。
ただ、やはり日本には体の小さな選手が多いことも事実だ。
そうした選手を使ってパワーやスピードで上回る相手に勝つには、やはり組織的な守備が必要となる。
「攻守両面で主導権を握る」というニールセン監督のやり方は、たしかに理想を求めたものだ。だが、サッカーには相手があるのだから、どんな相手にも常に主導権を握り続けることなどできるはずはない。
そういう劣勢の展開になったときに、どのように守ってしのぐのか……。そうして、現実的な戦いも見せてほしいものである。
なでしこジャパンの次の対戦相手はワールドカップ・チャンピオンのスペインである(6月27日)。相手に取って不足なし。同時に、スペインは2023年のワールドカップでは組織的守備で封じ込めた相手でもある。ニールセン監督には、そろそろ“勝ちにこだわった”采配も見せてほしいものだ。