■開催地に決まった「王国の本気」
次に、ブラジルまでの長距離移動のため、コンディション調整が難しかったこと。
ブラジルは日本から見ると、まさに“地球の裏側”。時差は12時間で、季節は日本と反対の初冬に当たる。国内組にとっては過酷な移動だった。
北アメリカやヨーロッパから集まった選手たちにとっては、南北の移動になるので時差の負担は少ないが、それでも長距離移動であることは間違いない。
男子の日本代表も、かつてブラジルで開催された2013年のコンフェデレーションズカップや2014年のワールドカップの際にコンディション問題で苦しんで、好成績を残すことができなかった。
日本だけではない。ブラジル・ワールドカップでは韓国やイランなど、アジアの代表チームは軒並み苦戦を強いられた。ロシア大会やカタール大会でのアジア勢の活躍を考えれば、やはり長距離移動が苦戦につながったことは間違いない。しかも、今回の女子代表の遠征では現地到着から第1戦まで中2日という過酷なスケジュールだった。
そして、2027年の女子ワールドカップ開催が決まったブラジルは本気モードだった。初戦のために用意された試合会場もコリンチャンスの本拠地、ネオ・キミカ・アレーナ。2014年の男子ワールドカップ開幕戦の会場だった。
そのブラジル女子代表は、持ち前のボール・テクニックに加えて、前線からの激しい守備やスピードなどフィジカル能力もこれまで以上のものを発揮。日本の選手の想定を超えた激しさを前面に押し出してきた。