■試合後半でも「集中力の高かった」選手
【78分のチアゴ・サンタナのシュート場面】
右サイドからの浦和のクロスをクリアした後に、ボールをインターセプトされてチアゴ・サンタナにシュートを打たれる。しかし、横浜FCの選手の体に当たってクリアされる。
コースを狙ったサンタナのシュートだったが、横浜FCの選手は、アウェーの地でなんとか勝ち点1を持って帰ろうとする気持ちのあらわれた守備をしている。何人もの選手が体を投げ出して、スライディングして防ごうとした。
もし、スライディングしていなければ、サンタナの技術からすれば、ボールはゴールに吸い込まれていただろう。
【82分のグスタフソンの逆転弾の場面】
横浜FCは櫻川ソロモンと数名の選手以外は、マンツーマンで守っている。クリアしたボールがサンタナの前に転がって、シュートされるが、ポストに当たる。ちょうどゴール前にいたグスタフソンにボールが転がり込んできてシュートを打たれる。
こうした状況は、「事故」と言える場面である。しかし、横浜FCの選手は守り疲れから足が止まってボールウォッチーになっている選手がほとんどである。
こうした場面で山崎(たつさき=以降同)浩介だけが首を振って、最後はシューターにスライディングしてシュートを防ごうとした。
実際に、試合後半になってのコーナーキックは、守備側の選手はボールウォッチャーになりがちだ。疲労で足が止まって、次のプレーを見てしまうのである。そんな中で首を振って状況を把握して、相手の動きを予想して対応した山崎は、すごく集中力の高い選手だと言える。
この試合でシーズンの前半戦を終えた浦和。次は、FIFAクラブワールドカップ2025の戦いが待っている。Jリーグでの次の試合は、7月19日のFC東京戦になる。
横浜FC戦での戦いの中で見えてきたことは、攻撃パターンの構築がなされてきたことはプラスであり、中盤での守備のユルさはマイナスであることだ。
最終ラインが安定してきているので、中盤での守備で相手をフリーにさせないポジショニングが重要になってくる。けれども、攻撃に関しては、だいぶ期待できる形になってきている。このプラス面の進化とマイナス面の改善が、世界の大舞台での躍進につながるのではないだろうか。