大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第164回「サッカー漫画と言えば…」(3) 日本では『アオアシ』『ジャイキリ』長編サッカー漫画が花盛りも…世界で人気は「カートゥーン」!の画像
サッカー漫画は知的な刺激の産物だ。©Y.Osumi

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム。今回は、白い紙に「世界」を創造する素晴らしい仕事。

■ロンドン生まれ91歳の「1コマ漫画」

 さて、日本サッカー協会が育成年代の大会の宣伝に使う『アオアシ』(「ビッグコミックスピリッツ」連載、著者・小林有吾)、天皇杯の宣伝に使う『ジャイアントキリング』(「モーニング」連載、原作・原案・綱本将也、作画・ツジトモ 通称ジャイキリ)など、日本では長編のサッカー漫画が花盛りだが、世界的に見るとこの形はそう多くはなく、日本ほどの人気になっているものは見当たらない。代わってサッカーファンに人気があるのが、「カートゥーン」である。

 1コマ漫画、あるいは風刺画。その「代表選手」として、2人の「巨匠」を紹介したい。

 ひとりは英国のポール・トレビリオン(1934~)である。ロンドンに生まれ、「デイリー・ミラー」、「デイリー・エクスプレス」、「ザ・サン」、「デイリー・テレグラフ」、「ザ・タイムズ」などの新聞に似顔絵入りの1コマ漫画を描いて人気を博した。私が高校生で「サッカー・マガジン」の愛読者だった頃、イングランド代表選手などの似顔絵付き紹介記事を読んだ記憶があるが、それを書いていたのがトレビリオンだった。そのトレビリオンが91歳でまだ健在なのだ。

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