■スポーツ紙で「1ページ漫画」連載
Jリーグ時代になってたくさんのサッカー漫画が誕生したが、特別に異色だったのが、1992年から1993年にかけて「スポーツ報知」紙で「連載」された『めざせ!!ワールドカップ キッカーズ2002』という作品である。週刊の少年漫画誌に毎号15ページぐらい掲載されるイメージの長編漫画なのだが、スポーツ報知はそれを毎日1ページずつ、サッカー面の「角」に掲載したのである。
その結果、極端に言えば、ある日の誌面では主人公が「ガーン!」と衝撃を受けるシーンがアップで描かれ、「ストーリー」などわかったものではなかったのであるが、担当者は「毎日読んでもらうので、大丈夫です」と平然としていた。
そして、あろうことか、「スポーツ報知」は私にその「原作」を依頼してきたのである。私の仕事は、今も昔もサッカーの試合を見て記事を書くことである。そしてサッカーの歴史を調べたり、選手や監督にインタビューして記事にすることである。どう調べても事実がわかり切れないときに「想像」を入れたことはあるが、一から「創作」したのは、このときだけだった。
漫画家はながいのりあきさん(1953~)だった(この人だけに「さん」をつけてしまうのを、ご容赦ください。)。1984年から1989年にかけて「月刊コロコロコミック」に『がんばれ!キッカーズ』という少年サッカーを題材にした作品を書き、アニメ化されるヒット作となった。