
ヨーロッパと日本では、人々のコミュニケーションの取り方が「まったく違う」と言うのは、蹴球放浪家・後藤健生。なかでも、その違いが大きく出るのが列車内だとか。どういうことか。
■座る向きは「気にしない」
ヨーロッパを旅行したことのない方でも、たぶんご存じでしょう。あちらの旅客列車はいわゆるコンパートメント式(仕切りのある客室)が多いのです。
高速鉄道は日本の新幹線や旅客機のように全員が前を向いて座る座席になっていますが、一般の長距離列車はコンパートメントが多いのです。また、短距離の通勤列車は日本でいう「ボックスシート」。2人掛けのシートが向かい合わせに座る方式が多いようです。
日本の通勤列車のような「ロングシート」、窓際に中央の通路に向いた7人掛けのような長いベンチ式の座席がある方式は地下鉄では普通ですが、一般の列車では少ないようです。
実は「ロングシート」はアメリカの鉄道で発達したもので、元はミシシッピ河のような大河を行き来する旅客船の船内がああいうロングシートになっており、19世紀に鉄道を建設するときにそのロングシート方式を採用したのだそうです。
一方、ヨーロッパの列車は中世以来使われていた乗り合い馬車をモデルにしたのです。馬車の車内は、ちょうど現在の列車のコンパートメントのように、シートが向かい合わせになっていたようです。
ちょっと話はズレますが、コンパートメントにせよ、ボックスシートにせよ、シートの半分は進行方向に向かって後ろ向きに座ることになります。
日本人は後ろ向きを嫌がる人が多いのでシートを回転させるようにしたりして、常に前向きに座れるような車両もありますが、欧米人は座る向きについてあまり気にしないようです。