■「世界に発信できるくらい素晴らしい図だった」

 森山監督にとって大きかったのは、大宮戦後の出来事であるという。期待高まる2000人のサポーターの前で完敗したにもかかわらず、サポーターは選手にブーイングではなく、逆に大音量のエールを贈ったのだ。
 森山監督はその光景を振り返りながら、「先週の試合はふがいない試合だったにもかかわらず、サポーターがものすごい大音量で声援を送ってくれて、“あれに応えなかったらサッカー選手じゃないな”と、選手もあのエールはかなり響いた。世界に発信できるくらい素晴らしい図だった」と感謝。そして、以下のように続けた。
「海外のマネじゃないですけど、サッカーっていうのは負けたら”何やってんだ、お前ら”みたいな風潮がありますけど、僕らは一緒に戦っているし、親戚のおじちゃん・おばちゃんだったら負けたら落ち込む。僕らだって負けたら本当に沈んで、上がってこれないんじゃないかというぐらい落ち込む。 そういう仲間たちに”何やってんだ、てめえら”っていうのは僕は違うと思うので、だからこそ、違う文化を仙台から発信していけたら。
 僕らのサポーターは、負けたからこそ”俺らも苦しい時に横にいるぞ”みたいな応援をしてくれる。それは本当に素晴らしいし、それが仙台発で”世界は知らねえよ””日本は違うぞ”と(発信していけたら)。日本のサポーターはそこで乱暴したり、物を壊したりするような文化はないですし、負けたら選手たちに”てめえら”っていうものではない。
 もちろん、ふがいない試合だったら”お前らもっと頑張んなきゃダメだぞ”っていうのは当然、プロだから勝たないといけないのは当然ですけど、そこに愛というか。“共闘”ってサポーターの方もずっと言ってますけど、共に戦うってそういうことじゃないかなと、また改めて実感させてもらった。
 あのふがいない試合であの声援を受けて、選手たちが今日は本当に戦ってくれた。ものすごく戦ってくれたので、サポーターの皆さんと一緒に戦って、頑張って、勝てはしなかったけど、心を打つ試合はできたんじゃないかなと思います」

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