
サポーターという言葉は、Jリーグの誕生とともに日本中に広がった。ワールドカップ優勝を目指すサッカー日本代表の森保一監督は、日本全体でのサポートを訴えている。蹴球放浪家・後藤健生が目撃した、サッカーが「国民的関心事」になったことで実現した「大きな夢」!
■3度目の優勝「大きかった」サポート
ワールドカップ予選突破を決めた日本代表の森保一監督が、この頃しきりに口にする言葉があります。「国民的関心」についてです。
「ワールドカップが国中の関心事でないと優勝できない。共闘して、日本中の関心事にしていただきたい」というのです。国民からのエネルギーがピッチ上の選手たちのエネルギーになるというのです。
どこか精神論っぽく聞えますし、抽象的でもあります。また、「国民」という政治的な意味も含む言葉を持ち出すと、ちょっと炎上しそうで恐いのですが、ただ、これまで数多くのワールドカップで現場にいた僕としては、森保監督の言いたいことについては思い当たるフシが数多くあります。
たとえば、2022年のカタール・ワールドカップではアルゼンチンがPK戦の末にフランスを破って3度目の優勝を果たしました。リオネル・メッシの最後の(と、あのときは誰もが思っていた)ワールドカップへの執念とか、PK戦も含めて好セーブを連発した“お騒がせ男”エミリアーノ・マルティネスとか、優勝を手繰り寄せたのはピッチ上で戦った選手たちであることに間違いありませんが、あのときのアルゼンチンの「国民的なサポート」の力もたしかに大きかったことでしょう。