後藤健生の「蹴球放浪記」第260回「街中を素敵なトラムが走る光景」の巻(2) 地下や路面そして「深い森」を走るブリュッセル、栃木では「国内75年ぶりの新線」でCL観戦の画像
グリーンスタジアム駅付近の宇都宮LRT。 提供/後藤健生

 本場ヨーロッパでのサッカー取材は、蹴球放浪家・後藤健生の気持ちを高揚させる。スタジアムのみならず、環境が気分を盛り上げるのだが、そのひとつがトラムである。蹴球放浪家にとって、トラム=路面電車は単なる移動手段ではない。

■都心部では「軽地下鉄」になるベルギー

 ほかにトラムというと、ベルギーのブリュッセルのことも思い出します。

 ここのトラムは、都心部では軽地下鉄になっています。地下を走るのですが、本格的な地下鉄のように地下深いところにトンネルを掘るのではなく、道路を掘り下げて線路を敷いて天井に蓋をしてその上が道路になっているのです。つまり、地面のすぐ下を電車が走っているわけです。

 モスクワとか平壌(ピョンヤン)の地下鉄ように、長いエスカレーターに乗る必要はありません。階段を下りれば、すぐに乗り場に到着します。

 都心部を離れればトラムは地上に出て路面電車となりますし、そのまま郊外に出ると専用軌道を走る普通の電車になります。

 1974年にワールドカップ観戦の後、西ドイツを旅行中に知り合ったベルギー人の家に泊めてもらったのですが、ある日「どこかお薦めの観光スポットは?」と尋ねたら王立中央アフリカ博物館を推薦されました。で、トラムに乗っていきました。

 ベルギー領だったコンゴから略奪してきた物を大量に展示した博物館です。

 博物館のある郊外のテルフューレンまでトラムに乗ったのですが、本当に深い森の中を走りました。それで、地下を走ったり、路面を走ったり、森の中の専用軌道を走ったりするブリュッセルのメトロはとても面白いなと思ったわけです。

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