■条件クリアで「他の国」のA代表に

 おっと、クバラの「4つ目の代表チーム」を忘れるところだった。バルセロナを「第二の故郷」としたクバラは、1954年から1963年まで「カタルーニャ代表」としてプレー、4試合で4得点という記録を残している。もちろん、カタルーニャは今もスペインの一部であり、カタルーニャ・サッカー協会がFIFAに加盟しているわけではないが…。

 現在、FIFAは、代表選手の国籍変更に関して厳格なルールをつくり、ワールドカップを目指したり、リーグの「外国人枠」を逃れるための安易な国籍変更を制限しているが、いくつかの条件をクリアすれば、A代表の経歴がある選手が他の国のA代表になることを妨げてはいない。

 また、こうした「国籍変更選手」の動きの透明化を向上させるために、FIFAは今年1月から情報を公開する「デジタル・プラットホーム」を立ち上げた。

 ルールがあれば、そのルールをうまくクリアする形でさまざまな「国籍変更」のトライがなされるのが、人間社会の常である。

 ワールドカップに行ってみたら、出場選手の半分がブラジル人だったなどというのは本当に興ざめだが、「国籍変更選手」による代表チーム強化は加速する一方の状況にある。それによって、今後10年間で世界のサッカーの勢力図が大きく変わっている可能性も否定できないのである。

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