松本泰志の裏抜けでまずはチャンス

 キックオフで岡山のロングボールを回収した浦和はいきなり、松本泰志の右ワイドを裏抜けする動きでビッグチャンスを呼び込んだ。岡山のハイプレスを外した右センターバックのダニーロ・ボザがワイドにボールを出すと、タッチライン側で受けた関根貴大が縦パスを送る。すると右サイドアタッカーの金子拓郎が岡山の左センターバックである鈴木喜丈にマークされながらも左足のワンタッチで背後のスペースに蹴り出す。そこに2列目の中央から流れた松本が抜け出して、中央に折り返した。最後は左サイドからボックス内に飛び込んだマテウス・サヴィオが決めきれなかったが、いきなり狙い通りのチャンスを作れたことが、この試合の布石となった。
 その後もボランチのサミュエル・グスタフソンを軸に幅広くボールを繋ぎながら、シャドーの松本はもちろん、ボランチの安居海渡やグスタフソンも”パシージョ”を繰り出すことで、岡山の前からの守備を封じ、浦和が押し込む形を作った。その象徴的なシーンが前半41分にサンタナがゴールネットを揺らしたが、VARチェックによりオフサイドでゴールが取り消されたシーンだ。左サイドから上がってきた荻原拓也からサンタナにラストパスが出された時点で、サンタナの左足が出ていた。
 浦和としてはアンラッキーなシーンになったが、ボールを回す流れで中盤からグスタフソン、さらに二列目から松本が縦に走ることで、岡山のディフェンスを下げてから手前のスペースを活用し、右サイドで関根、金子拓郎、右斜めに流れてきた安居とつながり、再び関根を経由して左の荻原にボールが渡った。関根は「けっこう、厚みある攻撃があのシーンは作れたと思いますし、全体的に流動的にポジションを変えながら、今日の試合できた」と振り返った。

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