■全員が「ボールウォッチャー」に!

【25分の湘南の得点の場面】

 浦和の守備の人数は足りている。ペナルティエリアの中に8人がいる。しかし、体の向きが全員ボールの方向に向いている。つまり、全員ボールウォッチャーになってしまっている。この立ち位置だと、目の前のプレーには対処できるが、自分の背後や味方と味方の間のスペースに入ってこられたら、対処しづらい。
 左サイドから浦和の選手の頭を越えて大きく逆サイドのポケットにボールを出されたことで、浦和の選手がボールウォッチャーになってしまっている。
 続けて、ボールを折り返されて再びダイレクトで逆サイドのファー側に蹴られたことで、浦和の選手は湘南の選手の動きについていけていない。人数が足りているのに守れていないのだ。これが浦和の現状である。
 先にも述べたが、本来ならば、関根がボザにコーチングして動かさなければならない。SBの位置は状況を俯瞰して見ることができる場所なので、コーチングしないと、CBもポジショニングを間違ってしまう。見ていて、コーチングされていないので、関根がマークして対処しなければならず、背後の福田をフリーにしてしまった。ボザを鈴木章斗にマークにつかせ、関根が福田をマークすれば、失点は防げたはずだ。

【61分の浦和の得点の場面】

 浦和の得点は、チアゴ・サンタナが中盤に降りてきたことで生まれた、そのスペースを使っての得点である。あの位置までサンタナが降りると、3バックはついて行かない。まず、浦和は右サイドのポケットからマイナスにパスを出す。マイナスに出されたパスはDFにとって対処が難しい。どうしても、攻撃する相手をマークしづらいのだ。従って、湘南からすればマイナスのパスを出される前に、浦和の選手がポケットに入ったときに、もっと厳しく詰めてもいい。ただし、ファールを取られる場合があるので、注意はしないとならない。少なくともダイレクトで出されないようにしたかった。

 浦和にとっては、理想的な攻撃パターンだ。いかに、こうしたパターンを作り出せるかに、これからの戦いはある。そのためにも、選手選考の見直しは必要だと思われる。

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