■鬼木監督が選手に強調していること
ただ、マルセロ・ヒアン、仲川輝人、俵積田晃太という強力な1トップ・2シャドウを擁するFC東京は過去2戦以上の難敵。前半こそ仲川がクロスバーをかすめるシュートを放ったくらいだったが、後半頭の猛攻は凄まじいものがあった。マルセロ・ヒアンが打点の高いヘッドをお見舞いした後半5分の決定機、マルセロ・ヒアンがGK早川友基に激しく寄せに行き、俵積田がフリーになった後半10分のビッグチャンスなどは、決められていてもおかしくなかった。
運もあってピンチをしのいだ鹿島は27分、濃野公人のクロスに鋭く反応した鈴木優磨がペナルティエリア内で森重真人のファウルを誘い、PKをゲット。これを確実に仕留め、待望の先制点をもぎ取ることに成功する。直前に植田直通のゴールをVARで取り消されていたため、嫌な空気も漂いかけたが、エースの一振りで完全に優位に立ったのだ。
「オニさんは『畳みかける』ことを非常に強調している。1点取ったら、今までの鹿島は『リスクを冒して行く』というよりも、『チャンスがあった時に行く』感じだったんですけど、今は『追加点を狙ってどんどん行け』と言われる。それをみんなが意識しています」と鈴木優磨が言うように、そこからも鹿島は貪欲にゴールを狙い続けたのだ。
「鬼木さんには『3点決めろ』とミーティングで必ず言われます」と濃野も語気を強めていたが、指揮官のその言葉は川崎フロンターレ時代と全く同じ。熱狂的サポーターを背に戦えるホームではそういう姿勢を強く押し出せる。後半ロスタイムに樋口雄太のFKから師岡柊生が決めた2点目はまさに象徴的なシーンだった。DFに当たって入るというラッキーもあったが、そうやって2-0で勝ち切ってしまうのが”鹿島らしさ”。ホーム25戦無敗を達成した彼らはそれを取り戻しつつあると言っていい。