■選手個々の「能力」は高いが…
日本チームの選手個々の能力は間違いなく高い。だが、組織ができていなかった。守備面ではどのように追い込んで、どこでボールを奪うのかといった意識の統一が見られず、1対1の勝負に持ち込まれてしまう場面が多かった。シリアの選手たちは2人だけ、3人だけでも日本陣内深くまでボールを持ち込む技術を持っていた。組織で守らないと難しい。
攻撃面でも、日本はチームとしての攻撃パターンがなく、個人のアイディアに頼っていたため、なかなか崩し切れなかった。
そんな心配をよそに、韓国戦では日本が完全にゲームを支配。28分には左サイドからの石井久継のクロスを韓国のGKキム・ミンスがファンブルしたところを神田奏真が押しこんで日本が先制する。
やや幸運な得点ではあったが、優勢に試合を進め、何度もチャンスを作っている中で先制できたのだから順調なスタートだった。
ゴールは左サイドでの攻撃から生まれた。
左サイドでは石井がサイドハーフ、髙橋仁胡がサイドバックの関係だが、石井が中に入って髙橋がオーバーラップしたり、逆に髙橋がインサイドハーフのポジションに上がって石井がサイドに開いたりと、バリエーションが豊富で韓国の守備陣は対応しきれていなかった。
得点場面でもやや内に入っていた髙橋から石井にパスが渡って、石井が数歩中に持ち込んでからクロスを上げた。つまり、このゴールは偶然のものではなく“必然のゴール”ということになる。