■失点リスクと隣り合わせはスタイルの宿命

 後半18分に決めた田中のゴールで、4ー2とリードして終盤に入ったセレッソは前にパワーをかけてくるガンバに対して、自陣にブロックを敷きながらの守備時間が長くなったことも確かだ。しかし、マイボールにすれば、アバウトに蹴って相手にボールを渡したり、時間稼ぎを目的としたボールキープなどは選択せずに、5点目を取りに行く姿勢を見せ続けた。
 もちろん、勝つためにそうした選択を取っていくことは悪いことではない。しかし、まさしく2019年にリーグ優勝した当時のマリノスがそうであったように、リードしていても最後まで貪欲に追加点を奪いにいくマインドはまさしく、アンジェ・ポステコグルーの流儀だ。当時のチームをコーチとして支えたパパス監督が”アタッキング・フットボール”を掲げる上で、これは忘れるべきではない。
 パパス監督は「ディフェンスもしながら、攻撃もしながら点を取りに行く。勝ち点を求めるというところもそうですけど、自分たちがやりたいサッカーを実現するために、一人ひとりの理解がすごく大切ですし、その先に勝利というものがつながってくる」と語るが、そこで攻撃だけを追求するのではなく「いい守備があって、いい攻撃があるので。そこは大切にしたい」と強調した。
 守備に関して言えば”アタッキング・フットボール”を掲げる中でも多くの課題が、このガンバ戦でも見受けられた。そこは今後戦う相手が必ずセレッソのウィークとして突いてくるはずだが、パパス監督が目指す攻撃ビジョンの軸をブラスことなく、修正していくことができるかどうかは選手たちの対応力にもかかってくる。
 失点のリスクが隣り合わせにあるのはこのスタイルの宿命だが、面白さに強さを融合させていくには避けて通れない道であり、ここから攻撃面がどうアップデートされてくかど同時に、注目していきたいところだ。
(取材・文/河治良幸)

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