■掲げている高い目標
続いてマイクを持った長谷部監督も、「まだまだ上げられると思っています」と言い切る。
そのうえで、「10中6(割り)、7(割)、もしかしたら50%かもしれないですけど、数字で言うとそれぐらいのところまで来たと思っています。それは悪い意味ではなくて、まだまだ足りないんですけれども、攻撃・守備のところでつながりが出てきている、うまくボールを取れる、うまく意図して崩していくところは得意なチームです。前監督の鬼木監督からできていたこと、もっと高まりそうな技術・意識を持った選手もいますので、それにプラスしてトレーニングも含めて高めていければと思っています。ただ、現状で言うとまだまだもっともっといけるんじゃないかと選手たちも私も思っています」と話す。
昨年の得点数はJ1全体で2位。今季はそれ以上の得点を目指しつつ、失点は昨年より20少ない数字を目指している。掲げている目標は高い。だからこそ、難敵を相手に4-0で勝っても監督も選手も満足できないのだ。
この試合を前に山田に戦い方のイメージを聞けば、コンクリートのように硬いピッチでは加速すると容易に止まれないと指摘しており、それがゆえにスペースを使った攻めよりも、足元を狙った攻撃を意識したいとしていた。つまり、チームは攻め方に“制限”が課された格好だったが、それを容易に克服している。初戦にしてその対応力を披露したことになる。
まずは1試合、かもしれない。たかが1試合、かもしれない。いずれにしても、今後に期待は抱かせる90分だった。このままチームは新たなフェーズへと入るのか。期待十分なイントロをアウェイの地で奏でたチームは、2月15日の名古屋グランパス戦へと挑む。等々力競技場で奏でるのは、予感を確信に変える力強いメロディだ。
(取材・文/中地拓也)