【川崎・長谷部監督、初陣勝利の裏側。未勝利の地で勝敗を分けたものとは(2)】4得点勝利も、指揮官も山田新も「まだまだここから」と話すワケ。現時点で「50%」というチーム作りの行方の画像
ACLE浦項スティーラースとの試合で川崎フロンターレの山田新がゴールを決めた瞬間 撮影:中地拓也
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 川崎フロンターレと浦項スティーラースによるACLE第7節が始まる前のことだ。選手が硬いピッチの上でウォーミングアップをする様子に、そして、日本から韓国に渡航してきた400人ものサポーターに、長谷部茂利監督はじっと見入っていた。

 浦項の赤いチームカラーに彩られたベンチの上で、リラックスしている空気ではない。かといって、張り詰めたような殺気が感じられるわけでもない。
「明日、試合前になったら相当高ぶるんじゃないか」
 試合前日の2月10日、長谷部監督は筆者の問いに対してこんな言葉を口にしていたが、高ぶりを胸に秘めるほどに、実際には自らを強い集中へと導いていた。今からでも修正できるポイントがあるのではないかと欲しているかのように。
「得点を取らないと勝てない。当然、試合に勝ちたいので、点数を取って2点、3点取って勝ちたい」
 前日にこうも話していた指揮官は、それを試合後に現実のものとする。Jリーグ勢が勝ったことのない浦項スティーラースを相手に勝利を収めたばかりか、4得点を奪ったのだ。沖縄キャンプ中に公開されたトレーニングマッチの芳しくない結果によって周囲が抱いていた不安を、まずは吹き飛ばしてみせた。

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