■サッカー「交流」が国際政治に影響

 現在41の協会で構成されているCONCACAFは、北米大陸から南米大陸の北側までに広がる広大な地域をカバーしており、その「南端」に位置するのが南米大陸の「左肩」にあたる「フランス領ギアナ」である。この「国」はFIFA未加盟のためワールドカップ予選には出場できないが、CONCACAF内のランキングは41チーム中18位。2024/25年の「CONCACAFネーションズリーグ」では「1部」にあたる「リーグA」に属していた。

 グリーンランドがCONCACAFに入れば、当然、「ネーションズリーグ」やクラブ大会など、ホームアンドアウェー形式の大会に出場できることになる。ところが「フランス領ギアナ」が直線距離で6600キロもあるグリーンランドのヌークに遠征しようとしたら、その主邑であるカイエンヌとグリーンランドのヌークとは直線距離で6600キロもあるうえに直行便などなく、カイエンヌからパリに飛び、パリからアイスランドのレイキャビクへ、そしてヌークまで飛ぶというようなことが必要になり、26時間もかかってしまうのである。

 アメリカのユナイテッド航空が今年6月からニューヨークとヌーク間の定期便を運行すると発表しているが、週に2便に過ぎず、サッカーチームの遠征に向いているとはいえないのだ。

 このようにさまざまな問題はあるが、グリーンランドのCONCACAF加盟はけっして「夢物語」ではない。そして、それは、もしかしたら現在の国際政治に影響されるものになるかもしれないし、またサッカーでの交流が国際政治に小さからぬ影響を与えることもありそうだ。

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