■5大リーグには遠く及ばない「競技力」

 こうした状況が実現したのは、Jリーグ・クラブの育成組織が優秀な若手を育てているからであり、Jリーグの競技力が上がっているからにほかならない。Jリーグの競技レベルが高いからこそ、今ではJ1リーグで活躍できる選手ならヨーロッパに渡ってもすぐに通用するようになったのだ(しかも、日本人選手は監督の指示に忠実にプレーするし、移籍金が比較的、安くてすむのでヨーロッパのクラブにとっては“お買い得”でもある)。

 もちろん、Jリーグの競技力はイングランドやスペイン、ドイツなどのいわゆる「5大リーグ」には遠く及ばない。

 当然のことだ。「5大リーグ」のクラブは豊富な財政力を使って、日本を含めて世界中から代表クラスの選手をかき集めて編成されているのだ。それに対して、日本のクラブはせっかく育てた優秀な日本人選手を次々と引き抜かれてしまっているし、欧州や南米の代表クラスの選手と契約することは難しい。

 これは、代表選手のほとんどをイングランドのクラブに引き抜かれてしまって空洞化を起こしているベルギー・リーグと同じ現象。つまり、「輸出国」の悲哀である。

  1. 1
  2. 2
  3. 3