後藤健生の「蹴球放浪記」第247回「韓国人は昔から大食漢だった」の巻(2)元代表監督と漢江のウナギ屋へ、ソウルで平らげた「一生分」のかば焼きの画像
ソウル孝昌(ヒョチャン)運動場で「春季実業団リーグ」を観戦。提供/後藤健生

 サッカー日本代表の長年のライバル、韓国代表チーム。つい数年前まで、日本の前に「高い壁」として立ちはだかり続けた。そんな彼らのストロングポイントのひとつといえば、屈強なフィジカルだろう。その肉体をキープするためか、韓国人は「大食漢」が多いと断言するのは、サッカー観戦で数えきれないほど隣国を訪れている蹴球放浪家。韓国代表選手の強さの秘密かもしれない(?)、その「大食漢ぶり」を、後藤健生が現地からリポートする!

■「日本人がやって来た」宴会の口実に

 元代表監督の沈さん以外にも、知り合いの韓国人は何人もいました。

『朝鮮民衆の社会史』に書いてあったように、彼らは本当に宴会が好きでした。「日本人がやって来た」というのは宴会を開くための格好の口実となったようで、歓迎だと称して毎日のように宴会が開かれ、昼間に暇がある人は案内と称してついてきたりします。その人間関係の濃厚さには、本当にビックリしました。

 そして、たしかに大食でした。マッコリ(濁酒)やソジュ(焼酎)、メッチュ(麦酒=ビール)をしこたま飲んで、真夜中まで食べ続けます……。

 中でも、驚いたのが沈さんとウナギ屋に行ったときのことです。

 ソウル市内を悠々と流れるのが漢江(ハンガン)です。日本の川とは比べ物にならないほどの水量を誇る、大陸的な川です。ソウルの旧市街は南山(ナムサン)の北に広がっていました。朝鮮王朝時代には、南山の向こう側の漢江沿岸には貴族たちが別荘を構えていました。また、沿岸は生糸の生産が盛んで蚕が育てられていました。1988年のソウル・オリンピックのメインスタジアムは蚕室(チャムシル)という所に建設されましたが、今でも、「蚕」という字が付く地名がいくつか存在しているのです。

 そして、大きな川のそばではウナギもたくさん獲れたのでしょう。ウナギは韓国でもよく食べられています。

 ちなみに、韓国語ではウナギ(鰻)は「チャンオ」。漢字で書くと「長魚」。見たままですね。

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