■「新戦力の発掘に消極的」批判も…

「森保監督は新戦力の発掘について消極的だ」と批判をする人もいるが、これは大きな間違いだ。森保監督は、これまでにも「剛腕」ともいえる手法で世代交代を図ってきた。

 たとえば、2022年のワールドカップ・イヤーには、それまで日本代表のセンターフォワードとして君臨してきた大迫勇也をメンバーから落とした。最初は負傷によるパフォーマンス低下が原因だったが、大迫が復調しても再び招集することなく、カタール大会では前田大然を中心に、固定したCFなしで戦った。

 ワールドカップ後にも「大迫待望論」があったが、森保監督は上田綺世を使い続け、2024年に入ってようやく上田が日本のCFとして独り立ちすることができた。森保監督はオリンピック・チームの頃から上田を起用しており、長期的な展望を持って上田を使い続けていたのだろう。

 鈴木彩艶の抜擢も、相当に強引だった。

 カタール大会まではベテランの権田修一を使っていたがワールドカップ終了後、若手に切り替え、そして、2023年後半から鈴木を起用し始めた。

 2024年1月のアジアカップでは不安定なパフォーマンスで鈴木が失点に絡むことが何度かあり、鈴木は批判の矢面に立たされた。しかし、それでも森保監督は頑固に鈴木を使い続けた。そして、2024年夏にイタリア・セリエAのパルマに移籍して正守護神となったことで鈴木が急成長。人々は、アジアカップでの鈴木の起用に対して批判していたことを忘れてしまったようだ。

 新戦力を発掘すべきポジションでは、森保監督はかなり強引に新戦力を組み込んできた。そのことは、上田や鈴木の例から明らかだろう。

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