【「J1昇格プレーオフ決勝」を紐解く】なぜベガルタ仙台の下克上はならなかったのか――両監督が事前に示していた重大ポイント【戸塚啓のJ2のミカタ】(1)の画像
ファジアーノ岡山の木山隆之監督(左)とベガルタ仙台の森山佳郎監督  撮影/中地拓也

■立場の違いが先制点の重みを大きくした

 ベガルタ仙台は、なぜJ1昇格に手が届かなかったのか。

 ファジアーノ岡山は、なぜクラブ史上初のJ1昇格をつかみ取ったのか。

 12月7日に行なわれたJ1昇格プレーオフ決勝は、岡山の2対0の勝利に終わった。その要因を、4つのポイントで読み解く。

 1つ目のポイントは「先制点」だ。

 J1昇格プレ―オフが同点で終わった場合、シーズンの順位が上位のチームが勝ち上がることになる。5位の岡山は引分けでもOKだが、6位の仙台は勝たなければならない。

 仙台の森山佳郎監督は、「僕らは攻めていくしかない。僕らにとっては先制点がより大事になる。先制点を献上してしまうと、もうかなり難しい状態になってしまう」と話していた。

 対する岡山の木山隆之監督も、「非常に大事な勝負がかかった試合。どの試合でもそうかもしれないが、最初の得点が勝敗のかなり大きなウエイトを占める」との認識を明かしていた。

 最初に決定機をつかんだのは仙台だった。11分、FW中島元彦が直接FKをブレ球で狙う。GKスベンド・ブローダーセンに弾かれたこの一撃は、前半唯一と言っていいい決定機となる。

 20分には試合が動く。岡山が左サイドから連続して仕掛け、MF末吉塁がペナルティエリア内左角からゴール右上スミへ蹴り込む。仙台GK林彰洋の頭上を破る鮮やかなループシュートは、本人曰く「ファーサイドにクロスを蹴ろうと思った」ものだったが、とにもかくにも岡山は先制し、仙台はビハインドを背負った。

 仙台のMF郷家友太は、「そこまではまだ範囲内だったので、焦りとかはなかった」と話す。しかし、先行したことで岡山が前へ出ていく力を強めたのは事実だ。末吉も「ゴールが入って試合を運びやすくなった」と振り返る。

 先制点が勝敗に大きな影響を及ぼしたのは間違いない。

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